【卒業生の声】納棺師が教える死後、身体はどう変化するのか?

エピテスクール卒業生の山田です。
現在納棺師として活動しております。

人は時が来たらいつか、この世を去ります。
ですが人の死は、人生の中で多く経験することではないですよね!
医療従事者の方でも毎日は経験しないのではないでしょうか。

亡くなったあと、身体はどう変化するのかご存知でしょうか?
ご処置やお化粧の必要性、グリーフケアなどお伝えできればなと思います。

エンゼルケアとは

まずはじめに、病院や施設で亡くなると看護師さんや介護師さんがエンゼルケアを施してくれます。亡くなった後に行う死後処置、清拭、着替え、お化粧をまとめて「エンゼルケア 」と呼びます。病院や施設で行うエンゼルケアと納棺師が行うエンゼルケアでは目的が異なります。

病室や施設の場合
病院で行われるエンゼルケアは、「治療時に使用されていた医療器具の除去や感染症リスクを避ける」ことを主な目的とした処置になります。

納棺師の場合
納棺師の行うエンゼルケアは、「時間経過によるご遺体の腐敗の進行を遅らせ、故人様をより生前のお姿へ近づける」ことを目的とした処置となります。

亡くなった後の身体はどう変化するの?

死後、お身体は様々な変化や現象が起き、時期や死因、安置環境によりご遺体の状態や腐敗の進行速度が異なります。日本の場合は亡くなってから法律上24時間は火葬ができませんので、火葬するまでに平均1〜4日くらいの日数が掛かります。(火葬場の空き状況やお坊さんやご親族の日程などで日延びする場合もある)その間にお身体の変化が起きるのです。

死後起こること

  • 体温降下:死亡すると体温は徐々に低下し、最終的には周辺温度に等しくなること          
  • 乾燥  :角膜や身体中の水分が蒸発し、皮膚が乾燥していくこと
  • 血液就下:血管内の血液が、重力によって低位置に移動していくこと
  • 死後硬直:遺体の筋肉が硬化する現象
  • 腐敗  :微生物による窒素化合物の分解のこと
  • ミイラ化:遺体の腐敗分解が始まる前に、高度に乾燥が進むとミイラ化すること
  • 血液、体液の漏出:生前から全身浮腫や点滴投与されていた身体は体液が流出してくること

など様々な現象が起きます。

よく言われる現象
「顔色が白くなった!」:血液就下が起こり、顔から血の気が引いて青白く見えたりするのです。
「髭が伸びてきた!」:乾燥により皮膚が収縮し、皮膚の中に残っていた髭が出てきた状態になります。
「唇が硬くなった!」:粘膜部分の唇や目頭は乾燥しやすく、硬くなり割れることもあります。
「目が開いた!」:眼球はだいたいが水分なので眼球自体が蒸発収縮し、目蓋が凹んだり目が開きやすくなります。
「口が開いた!」:顎の硬直が解けて徐々に口が開いてきます。環境温度等の影響も受けますが、通常死後2時間程度経過してから徐々に脳→内臓→顎→首に始まり、半日程度で全身に及びます。30〜40時間で硬直は解け始め、90時間後には完全に解けます。死亡推定時刻を割り出す場合も硬直の進展状況が参考になりますよね!
「肌が緑色に!」:腐敗が進行し内臓付近や口元周辺など特に変色しやすいです。腐敗は進行すると臭気が強くなり、皮膚の強度が弱く破けることがあります。

病院や施設で亡くなった場合は比較的お身体の状態は良いですが、それでもご遺体の状態は時間と共に変わってきます。

故人様の最適な環境とは

亡くなってから火葬までの間の「ご遺体の状態」は「死亡状況」「ご遺体自身の要因」「安置環境」により大きく影響を及ぼします。この中で「安置環境」だけは管理することが可能なのです。
腐敗の進行を少しでも遅らせるためにも、故人様の身体を冷やすことが大切な処置になります。生もの食材も冷蔵庫や冷凍庫に入れないとそのうち腐りますよね!
故人様にとって最適な温度は4〜7度、湿度は60%と言われています。全ての機能が停止した身体は油分や水分が作れないので乾燥防止のために保湿が大切になります。

なるべくご生前と変わらないお姿で故人様をお見送りするためにも早急に適切な予防や処置をすることが非常に重要となります。

処置の必要性

処置の内容

  1. 全身、口腔内や汚れている部分を洗浄、消毒をする
  2. 適量の綿を鼻や口、肛門に詰め、体液漏れや臭気を抑える
  3. 含み綿で口を閉じ、ご表情を整える
  4. お傷や点滴痕からの血液や体液漏れがある場合は止血処置をする

含み綿やシリコンを使い、やつれたお顔をふっくらとさせるなど、ご生前の故人様の自然なお姿に近づけられるよう適切なお手当てを施すことで、ご家族やご葬儀にご参列される方々が安心して故人様とご対面して頂けます。
長期入院などで医療チューブによる口唇の欠損や事故等でできた傷、欠損部分の修復処置、復元処置なども行います。エピテーゼの出番です(^^)

お化粧の必要性

お化粧の内容

  1. お顔の産毛や髭、鼻毛を剃る
  2. 故人様専用クリームで保湿
  3. 医療機器の痕、傷、アザ、シミ等を目立たなくベースメイクする
  4. 皆様にお伺いしながらポイントメイクする

お亡くなりになられますと、故人様のお顔色は皆様が想像する以上に変わります。死後の変化を予測し、時間が経っても自然なお顔色に見えるようなお化粧をいたします。
ご生前にメイクをしなかった方や男性はお化粧というよりお顔色が明るく見えるように自然な薄化粧を施します。人によって様々だと思うのでご要望をお伺いしてから行います。
以前男性の故人様でしたが、「お酒が好きでいつも赤ら顔だったから真っ赤にして!」とのご要望でしたので酔っ払いメイクを施し、皆さんとても喜んでいました。
先入観に囚われずその方らしいお顔で送り出してさしあげたいですね(^^)

グリーフケアとは


大切な対象(人、ペット、物、環境)を失った時に起こる精神的、肉体的反応をグリーフと言います。そしてその感情や身体の不調に寄り添いサポートすることをグリーフケアと言います。

お身体の処置やお化粧、お着替えなどで故人様をご生前に近いお姿にして穏やかに送り出すことや相手の言葉に耳だけでなく心も傾けながら、受容と共感を持って聴くことはグリーフケアに繋がり、心の回復を支えます。
ご遺族様にお化粧や旅支度を行ってもらうことで「自分の手で最後のケアをしてあげられた」という納得感や満足感が、ご遺族様の立ち直りにとって大事なプロセスになります。

100人いれば100通りのグリーフがあり向き合い方があります。私たちはつい良かれと思って自身の知識や経験から、他者にアドバイスをしたくなります。しかし、その方の想いや時間の流れは人それぞれであり、その辛さは本人にしかわからないことなのです。
数年前、私の叔母が癌で伴侶を失い、深い哀しみを抱えていました。当時の私は、「私たちがいるよ!皆で支えるよ!」と励ましましたが、叔母は「叔父が良い、叔父でないと駄目なんだ」と悲しんでいました。そりゃそうです。亡くなったのは叔母の最愛の伴侶で私たちが叔父の代わりをできるわけないのですから当然です。叔父の死を共に哀しみ、叔母にただ寄り添うことがあの時の叔母に必要なグリーフケアだったと思います。
上手な言葉掛けではなく、ただそばにいて気にかけていることが伝われば、それで良いのだと私は思います。
医療従事者の皆さんや納棺師さんは、残された方が故人様と少しでも心置きなくお別れができるように、しっかりとお話を伺い、心に寄り添っていきましょ(^^)

元メイクマン×現役納棺師として数多くの旅立ちの経験を元に、初心者の方や看護、介護の方が現場で実践できるエンゼルケアのテクニックとエンゼルメイクのコツを学ぶ事ができる「エンゼルケア ・基礎メイクコース(仮)」を開催予定です。ご興味がありましたら是非一緒に学びましょう!
ただいま準備中ですので詳細が決まりましたらお知らせいたします♪
最後までお読み頂きありがとうございました。

はじめまして、山田です。
現在納棺師で東京都出身のO型。
好きなものは、動物とハイボールと故人様。
元々メイクアップアーティストでしたが、祖母が亡くなったことがきっかけで葬祭業に転職。かれこれ10年以上納棺師をしております。
納棺師とは、亡くなられた方に適切な処置やお化粧などを行う専門家のことです。”故人様の尊厳を守り、ご家族様の想いに寄り添う旅達のお手伝い” をさせていただきます。
さらにパワーアップしたくてエピテーゼを学びました!楽しい!
みなさん、一緒に学んでいきましょう(^^)よろしくお願いいたします。

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