【会員限定】乳がん治療の現状と最新の動向:個別化医療の進化

乳がんは、日本国内で最も多くの女性に発症するがんであり、その治療方法は近年大きく進化しています。特に、乳がん治療の選択肢は個別化医療(患者一人ひとりに最適な治療を提供する医療)に向けて多様化し、これまでにない効果的なアプローチが次々と登場しています。本記事では、最新の研究結果をエビデンスを交えながら解説し、乳がん治療の現状と未来を紐解きます。

1. ホルモン受容体陽性/HER2陰性乳がん:一次治療の進化

ホルモン受容体陽性(HR+)、HER2陰性(HER2-)の乳がんは、女性ホルモンに依存するタイプの乳がんです。このタイプにおいて、CDK4/6阻害薬と内分泌療法の併用が国際的な治療ガイドラインで推奨されています。

最新のPADMA試験(ドイツ)では、パルボシクリブ(CDK4/6阻害薬)と内分泌療法の併用が、化学療法単独よりも治療成功期間(TTF)と無増悪生存期間(PFS)の両方で優れていることが確認されました。これにより、ホルモン療法を軸とした治療の可能性がさらに広がっています。

2. 高齢者の低リスク早期乳がん:術後治療の選択肢

高齢者(70歳以上)の低リスク早期乳がんにおいて、乳房温存手術後の放射線療法(RT)と内分泌療法(ET)の効果を比較したEUROPA試験が注目を集めています。この試験では、RT群がET群よりも2年間の健康関連QOL(生活の質)で優れており、有害事象の発生率も低いことが示されました。

この結果は、高齢患者に対して、生活の質を考慮した治療選択が重要であることを強調しています。

3. 抗体薬物複合体(ADC)の新たな可能性

HER2タンパク質を標的とした抗体薬物複合体(ADC)のトラスツズマブ・デルクステカン(商品名:エンハーツ)は、これまで治療が難しかった「HER2ウルトラロー」乳がん患者にも有効性を示しています。

特にホルモン受容体陽性(ER+)の転移性乳がん患者に対しても期待されており、既存の治療オプションが限られていた患者に新たな希望を提供しています。

4. 日本発の治験結果による新しい治療法の承認

日本主導の国際共同治験であるPATHWAY試験では、ホルモン受容体陽性/HER2陰性の進行乳がん患者に対し、パルボシクリブとタモキシフェンの併用療法の有効性が確認されました。この結果に基づき、パルボシクリブの添付文書が改訂され、さらに幅広い治療オプションが承認されています。

まとめ:乳がん治療の未来

乳がん治療は、エビデンスに基づいた新たな治療法の開発により、ますます個別化が進んでいます。今回紹介した研究は、患者の生活の質を向上させ、より効果的で安全な治療を提供する方向性を示しています。

参考資料:

みやび

日本エピテーゼ協会会長兼エピテみやび株式会社代表取締役。群馬県生まれ。元歯科技工士。友人の乳がんをきっかけに起業。10年で47都道府県にエピテニスト®とエピテカウンセラーを展開します!

好きなものはもふもふの動物。O型。おうし座。趣味は読書。たまに飲み歩き。

【メディア掲載】
NHK/テレビ東京/J-wave/TBS/日本経済新聞/読売/朝日/毎日/東京/上毛/京都新聞など/創業手帳/創業手帳woman/健康365/映画「フタリノセカイ」など多数

【受賞】
女性起業プロジェクト:グランプリ/品川ウーマンズビジネス:特別賞/Niceなビジネスコンテスト:奨励賞/ぐんぎんビジネスサポート:努力賞/TOYP2020:厚生労働大臣賞・準ブランプリ

【商標】
エピテ®/エピテニスト®

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