展示という啓発活動──エピテーゼ展XIを通じて見えてきたこと

今年も恒例のエピテーゼ展を開催しました。
第11回目を迎え、原宿のギャラリーにて「エピテーゼ展XI」を開催いたしました。
本展示は、日本エピテーゼ協会が取り組む啓発活動の一環として、エピテーゼの存在をより多くの方に知っていただくことを目的に開催しています。

第11回目となった今回は、乳がん経験者のご家族や事故・先天的な理由で外見に悩みを抱える方をはじめ、福祉・医療関係者、さらには海外からの来場者まで、多様な背景を持つ方々が来場されました。

また、乳がんケアブラジャーの洋裁の先生にもご協力いただき、異なる専門性を持つ方々との協働により、より幅広い啓発活動が実現できたのではないかと感じています。

見た目の悩みは“自分ごと”として届き始めている

「手術でもメイクでもない、こんな方法があるなんて知りませんでした」
「外見の悩みに、こんなアプローチがあるとは思ってもいなかった」
「ふらっと入りましたが、いい展示を見させていただきました」
「身近で同じように悩まれている人がいるので伝えます」

展示を通じて、そんな言葉をたくさんいただきました。
これまで“特別な人だけの話”と思われていたエピテーゼが、少しずつ“自分にも関係のある話”として受け取られるようになってきている実感があります。

誰でも入れるアートギャラリーという空間で、解説とともに実物を展示し、私たち自身が来場者と対話することで、単なる情報提供を超えた“感情の共有”が生まれました。

啓発とは一方向的な説明ではなく、「知らなかった」「感じた」という個人の気づきを通して社会に変化を起こしていく活動です。
今回の展示はまさに、その役割を果たせた手応えがあります。


未知のニーズと未開拓の市場が、展示から見えきたこと

特に印象的だったのは、海外からの来場者の反応です。
ちょうどギャラリーで行われていた外国人向けのアートツアーを通じて、多くの方が展示に立ち寄ってくださいました。

「こういう装具は、私たちの国にはまだありません」
「乳がんのあとのケアは、手術したまままで終わってしまいます」

ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアなど各国の方々から寄せられた声は、私たちに大きなヒントを与えてくれました。

エピテーゼは、いまだ世界でも“当たり前”とは言えない技術・サービスです。
展示という形で多様な文化背景を持つ人々と触れることで、日本だけでなく、世界にも未開拓のニーズが広がっていることを再認識しました。

啓発活動は、単に知ってもらうことだけでなく、社会課題をあぶり出し、未来の可能性を照らす行為でもあります。
今回の展示は、エピテーゼという選択肢が、国内外でいかに求められているかを“肌で感じる”機会となりました。

今後も私たちは、「知ることから始まるケアのかたち」を大切に、展示や講座、各種活動を通じて、必要な方に必要な情報が届く仕組みを築いてまいります。

日本エピテーゼ協会/エピテスクール

一般社団日本エピテーゼ協会は「エピテーゼを社会の選択肢に」という理念のもと、学び・資格・活動支援まで一貫して行う専門機関です。
エピテ®スクールでは未経験から学べる、協会認定資格が取得できる講座を提供しています。

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