エピテーゼの学校「エピテスクール」です。
エピテーゼ製作では、石膏の取り扱いが欠かせません。
しかし、正しい知識がないまま扱うと、命に関わる重大な事故を引き起こすこともあるのです。
実際に、16歳の少女が石膏の誤使用により、両手8本の指を失う事故が起きています。
いまや石膏は、アロマストーンなどの流行もあり、100円ショップでも気軽に手に入る素材となりました。
だからこそ、私たちは改めて「石膏の正しい知識と扱い方」を学ぶ必要があります。
今回は、実際に起きた事故をもとに、石膏の危険性とプロが教える正しい使い方についてお伝えします。
16歳の女子生徒が両手8本の指切断

とある日、手の型をとる授業がありました。しかし、この教師はやり方を間違えていました。
なんと、温度が最高60度になる焼き石こうの入ったバケツに手を入れ、手の型を取ろうとしたのです。実際その中に手を入れた16歳の少女の手はバケツの中で固まってしまいました。
手を抜こうとしても自力では抜けないため、救急隊員を呼び外そうとします。
しかし、結果は両手に重いやけどを負い、12回にわたる手術を受け、片方の手の指すべてと、もう一方の手の指3本を失ってしまいました。
ロイターより記事を一部抜粋して紹介
このように、海外では16歳の女子生徒が石膏の誤使用によって両手8本の指を失うという痛ましい事故がありました。
熱をもつタイプの石膏に直接手を入れてしまい、抜けなくなり、そのまま重度のやけどに。
正しい知識がないことで、ここまでの大事故に繋がってしまうのです。
正しい知識がなかったために起きた事故
なぜこのような事故が起きてしまったのか?
それは『正しい知識をもたなかった』からではないでしょうか。石膏は水と反応して発熱します。
石膏の発熱とやけどのリスク
- 石膏は水と反応して発熱(45度以上になることも)
- 45℃以上で、人の皮膚はやけどします
- 多量に混ぜたり、密閉状態だと熱がこもり危険!
ひとがやけどする温度は45度以上といわれています。
ちなみに消費者庁のホームページによれば、湯たんぽの場合として、低温やけどが起こる条件は、60℃で5秒程度、50℃で3分程度、44℃で6~10時間だそうです。
石膏の発熱は約45度といわれますが、量が多い場合はそれ以上になるので、やけどします!
バケツの中に入っている石膏に手を入れるなんて、言語道断です。
ちなみに、なぜ石膏が発熱するのかお伝えしましょう。
石膏が発熱する理由
石膏が発熱する理由は、石膏が水と反応するからです。石膏に水を加えると、水と石膏の中で化学反応が起こります。この化学反応が進むと、石膏が徐々に硬くなっていくのですが、その過程で熱が出ます。
しかし正しい知識を持たずに作業してしまうと、大きな事故へと繋がります。
もしも手形を石膏でつくりたいなら

石膏で赤ちゃんの手形や、親子の記念アートを作る方も多いと思います。
でもその際には、絶対に“直接石膏に手を入れる”のはNGです。
プロの現場では、「シリコンやアルジネートで型を取ってから、そこに石膏を流し込む」方法を使います。
これは石膏の発熱によるやけどを防ぐために欠かせない工程です。
ご家庭で手形を作る際も、必ず「中間に型取り素材をはさむ方法」で行いましょう。
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正しい知識は、自分と相手を守る力になる
石膏は、医薬・医療、美術工芸、農業、建築・土木まで幅広い分野で使われており、身近にあるものです。
石膏を扱う人すべてに、安全への責任があります。
エピテーゼ製作は、大切な体の一部を預かる技術。
エピテスクールでは、見た目を再現する技術だけでなく、安心して提供できる“正しい知識”を学ぶことができます。
「知らなかった」では済まされないからこそ、基礎から安全に学びませんか?





